遠く、桃の実の歌声が聞こえてくる。
ある桃の実は我が身の不幸を呪い、ある桃の実は、他人の身の上を忖度して、疲弊している。
歌声には、各々の桃の実の、前世の記憶にまで遡る悲哀が、深く練り込まれている。
いまなら猛暑の中、涼を取る一服の休憩にも、とりとめもない時間の揺らぎが存在することを気が付かせてくれる逸品。